防已黄耆湯の口コミやブログからわかる危険な飲みかた

防風通聖散の記事を書いて感じたのですが、ダイエット目的で漢方薬を利用されているかたは予想以上に多いです。しかし、間違った飲みかたや、体質にあっていないかたが多い印象です。

 

防已黄耆湯に関係する、口コミやブログを読んで感じたことは、「防已黄耆湯と防風通聖散」を併用している人が多いことです。

ダイエットに悩むかたは、便秘やむくみが両方ある人は多いです。だけど、東洋医学的な診断結果で考えると、併用することはないと思うのですが……。

婦人科で内蔵脂肪に効くという漢方も処方して貰いました。ツムラ20番防已黄耆湯と、ツムラ62番防風通聖散です。食事も少〜しだけ気をつけて、腹9.5分目くらい。たまにお腹いっぱい食べてしまいます

一月から始めて2ヶ月目、体重の増加は止まっているような…?効果はまだ分かりません。

引用:アメブロ

防已黄耆湯と防風通聖散のダブル処方!!??

おそらく、漢方薬について知らない先生による処方だと思います。

世間的に、防已黄耆湯も防風通聖散もダイエットに効果がある漢方薬として知られているようですが、「目的も体質もまったく違います!」

漢方薬の診断によって同時に処方は考えられないと思うのは私だけでしょうか?

体力があるかたってことなんでしょうか? そうじゃないと普通に体調崩します。

あと、2ヶ月服用して「尿量が増えた」などの変化を感じていないなら、処方が合っていないですよ。

 

お昼前に、防已黄耆湯を飲んで、ご飯を食べて、何か違和感を感じましたガーン

じんましん!!

じんましん 引用

引用:アメブロ

肝機能に障害が出たのでしょうか? 防已黄耆湯の副作用として肝機能障害があります。(発熱、かゆみ、発疹、黄疸)

防已黄耆湯を飲んで体調に異変を感じたら、服用をすぐ中止して病院で相談しましょう。

 

今回の薬は有名な[コッコアポL錠]ですが、中身は漢方の防已黄耆湯です。漢方って、求める効果の次に自分の体質傾向と合っていないと効果が出ないのですが防已黄耆湯は私の体質に合ってるはず(疲れやすい、汗かき、むくみ・・・etc)

引用:アメブロ

薬局などで販売されている漢方薬は名前が変わっている場合があります。コッコアL錠は、クラシエから発売されている防已黄耆湯です。書かれている体質(疲れやすい、汗かき、むくみ)は合っていますね。

 

今日で漢方薬おしまいです。防風通聖散 (内臓脂肪を減らすお薬) と、防已黄耆湯 (むくみを解消するお薬)、お~世~話~に~なりました~♪

防已黄耆湯防風通聖散 引用

引用:アメブロ

こちらも防已黄耆湯と防風通聖散のダブル処方。体力があるかたなら、防已黄耆湯じゃなくてもよい気がします。

 

防風通聖散と共にオススメなのが、【防已黄耆湯】こちらは、むくみ防止。寒くなると動きが減るので、必然的に浮腫みやすくもなりますよね。利尿作用で浮腫を改善、疲れやすい方にもいいんですっ。まずは、1週間分飲んで、効果を実感してみて下さい。

引用:アメブロ

寒い時期にむくみやすい体質なのでしょうか? だとすると、わざわざ漢方薬を飲まなくても食事や運動などで改善できると思います。

漢方薬も副作用はあります。手軽だからと飲むことに疑問が残ります。

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下半身痩せできる人とできない人の違いは3つ。治療家が本気で伝えるダイエット

 

数年前までは筋トレや自転車で運動して筋肉を鍛えていましたが人間関係のストレスでうつになってから筋肉トレも運動もほぼすることがなくなり体力がガタ落ちして普通に食べてても太ってしまい妊婦服のような服しか着られず、これではイケないと思いコッコアポL錠 360錠2瓶を購入し二ヶ月間服用してましたが私にはなんの効果はありませんでした。やはり痩せるためには食事を減らして運動するしかないと思いました。ただ、利尿作用は感じられましたね。☆acqua☆さん34歳  評価しない

漢方薬は3週間や4週間飲んで、効果を感じなければ合っていません。利尿作用があったのに痩せないなら「ストレス」に対してアプローチできる漢方薬がよかったのかもしれません。(抑肝散:よくかんさん)など。

引用:@cosme

 

オケさん 36歳

2、3年に1度位たまに試すんですが、いまいち効果がわからず。疲れやすく汗をかきやすいのはあってますが、特に便秘体質って訳ではないからかなぁ。珍しく?今回は312錠を飲みきりましたが、次は買わないかも。

引用:@cosme

便秘体質?? 他の漢方薬(防風通聖散?)と混同しているのでしょうか? 2,3年前にも試して効果がわからないなら処方が合っていません。残念ながら、お金の無駄使いですね。

 

昨日から飲み始めたのですが、オシッコの量は増えました。そのせいか、翌朝の顔が締まった感じでびっくりです。腕と脚の浮腫がなくなって、触っても細い感じがしました。便は変わりないですが、まだ飲み始めて二日目なのでしばらく続けてみるつもりです。kei-nさん47歳

引用:@cosme

ドンピシャで「証」(東洋医学的な診断結果)に合っていたんでしょうね。

 

防已黄耆湯をドラッグストアやAmazonで市販薬を買う場合

ツムラやクラシエの防已黄耆湯になると思います。医療用漢方製剤(病院処方)と、一般用漢方製剤(ドラッグストア)では、成分量が違う場合があります。

【第2類医薬品】ツムラ漢方防已黄耆湯エキス顆粒 64包価格:¥ 5,500

〔1 回 量 〕 1包(1.875g)

〔1日服用回数〕 2回

1日2包なので、32日分

1日約171円

 

【第2類医薬品】防已黄耆湯エキス錠Fクラシエ 180錠参考価格:¥ 3,564

〔1 回 量 〕 4錠

〔1日服用回数〕 3回

1日12錠なので、15日分

1日約237円

 

【第2類医薬品】コッコアポL錠 312錠     参考価格:¥ 4,320

〔1 回 量 〕 4錠

〔1日服用回数〕 3回

1日12錠なので、26日分

1日約166円

 

防已黄耆湯を病院で保険適用するために

地道な製薬会社の働きによって、漢方薬は病院で保険を利用して処方が可能になっています。かかりつけ医があれば、一度相談されてみてはいかがでしょう?

ただ、1点だけ気をつけてほしいことがあります。

漢方薬を勉強している医師や薬剤師を見つける必要があります。

医師全員が漢方薬の知識があるわけではありません。漢方薬は、東洋医学独特の診断方法によって処方を決めます。だから、西洋薬と同じように症状だけにあわせて飲むと、効果がなかったり、体調を崩したりする場合があります。

最近は、肥満外来も増えてきているので、肥満外来を受診するのもよいでしょう。

肥満外来とは

肥満症の予防は、バランスのよい食事療法と適度な運動が基本となりますが、漢方薬を使用することにより種々の症状を同時に改善できるという特徴があります。当院では定期的にBMIをチェックし、体型の計測を行い、必要ならコレステロールや中性脂肪、尿酸、血糖などのいわゆる生活習慣病の原因となる これら検査項目の血液検査を行いながら経過観察をしていきます。

引用:パレスクリニック

処方されるダイエットのお薬は、漢方薬だけではありません。

抗肥満薬とは肥満を抑制したり防止したりする薬剤です。中略  医師の処方箋が必要な医療用抗肥満として、サノレックス、ゼニカルなどが開発されています。

引用:麻布医院

肥満外来で共通していること

  • 既往歴や現病歴の問診
  • 服用中の薬や飲酒量の問診
  • 体重・身長・血圧などの測定
  • 血液検査(肝機能、腎機能、糖尿病検査、脂質異常症の有無など)

必ず検査はおこないます。本気でダイエットを考えているならよいでしょう。しかし、「来週までに3キロ痩せたい!」のようなむちゃくちゃなダイエットを考えている人には不向きでしょう。

 

防已黄耆湯の生薬

生薬とは、漢方薬を作るために必要な材料です。

防已黄耆湯がカレーライスだとすると、肉・玉ねぎ・ニンジン・ジャガイモなどが生薬になります。防已黄耆湯は6種類の生薬からできています。

防已(ぼうい)

防已ぼうい

期待できる効果効能として、

  • 水分代謝の促進
  • 鎮痛
  • 浮腫
  • 関節水腫
  • 関節痛
  • 腫れもの

とくに下半身のむくみや関節に溜まった水を除去して、リウマチや関節痛に対する鎮痛作用がメインです。

もう少し防已のくわしい説明

防已は、ツヅラフジ科(Menispermaceae)のオオツヅラフジ Sinomenium acutum Rehder et Wilson のつる性の茎および根茎を乾燥したもの。

シノメニン(アルカロイドの一種)が含まれいる。

シノメニンは鎮痛作用がある。

袪風行水(きょふうこうすい):風邪を除き、水(尿)の排泄をうながす。

黄耆(おうぎ)

黄耆(おうぎ)引用

画像引用:養命酒

期待できる効果効能として、

  • 胃腸系を強める(滋養強壮)
  • 利尿をうながし汗を止める

胃腸を元気にすることで、消化吸収を助ける。エナジードリンクにも原料として使用されたりします。

もう少し黄耆のくわしい説明

黄耆は、マメ科のナイモウオウギまたはキバナオウギの根を乾燥したもの。

  • 補気強壮薬
  • 益気固表
  • 行気消腫

元気を補い、体力アップ。

気が充実するので、肌表面の毛穴などを引き締め汗が出ていくのを防ぐ。

気が流れるので、腫れた部分の水が流れてなくなる。

白朮(びゃくじゅつ)

白朮(ビャクジュツ)画像

期待できる効果効能として、

  • 消化器系の機能障害を正常化
  • 水分の代謝異常を正常化

消化吸収をよくして、水分代謝を整えるがメインの働きです。

白朮はキク科、「オケラ」や「オオバナオケラ」の根茎ですが、昔から梅雨時の湿気払いや、カビ防止に利用されていました。

お正月にいただく、お屠蘇(おとそ)の原料でもあります。

もう少し白朮をくわしく説明

白朮は、オケラやオオバナオケラの根茎を乾燥したもの。

  • 補気健脾
  • 助脾運化

気を補って脾の臓をすこやかにする。

中医学(東洋医学)では、現代の脾臓とは違うものと考えられています。消化吸収に関係する臓器です。

脾の臓の働きをよくして、栄養を運んだり、体内の余計な水分や排泄をうながす。

大棗(たいそう)

大棗(たいそう)

期待できる効果効能として、

  • 下痢で傷ついた消化管を補修
  • 興奮した腸の動きを抑制
  • 腹痛を緩和
  • 体を温める
  • 緊張緩和

大棗とは、なつめのことです。ドライフルーツでも販売されているので、食べているかたもいるかもしれません。

もう少し大棗をくわしく説明

クロウメモドキ科ナツメの果実を乾燥させたもの。

滋養強壮、利尿、矯味(きょうみ)※

※矯味とは、苦味などを隠すためにもちいられるもの。はちみつなども矯味としてもちいられます。

甘草(かんぞう)

甘草(カンゾウ)

画像引用:シンギー

期待できる効果効能として、

  • 諸々の急迫症状を緩和、鎮痛
  • 鎮痙(ちんけい)
  • 解毒
  • 鎮咳(ちんがい)
  • 咽喉痛
  • 胃痙攣
  • 胃痛

など

とにかくいろいろな漢方薬に使われることが多い「甘草」そのため、自己判断で複数の漢方薬を飲んでいると過剰摂取による、偽アルドステロン症、ミオパチーを発症するかもしれません。

症状として、

  • 手足のだるさ
  • しびれ
  • つっぱり感
  • こわばり
  • 脱力感
  • 筋肉痛
もう少し甘草をくわしく説明

マメ科カンゾウ属植物の根や根茎を乾燥させたもの。

  • 培土和中
  • 諸薬調和

胃あたりの不快感を治療して、消化器をすこやかにする。生薬のマッチングをよくする。

生姜(しょうきょう)

生姜(ショウキョウ)

画像引用:大峰堂薬品

期待できる効果効能として、

  • 発汗
  • 健胃
  • 鎮吐
  • 感冒(かぜ)
  • 嘔吐
  • 食欲不振

薬味として使われるショウガのことです。発汗という作用がありますが、そこまで力はなく、循環をよくするサポーターになってくれます。

もう少し生姜をくわしく説明

ショウガ科ショウガの根茎を乾燥させたもの。

生のまま乾燥させたものを生姜。一度蒸して乾燥させたものを乾姜(かんきょう)といって若干効果が変わってきます。

営衛調和※

※肌表面の自汗(勝手に流れてくる汗)をコントロールしてくれる。

それぞれの生薬をまとめると

黄耆・白朮・甘草・大棗
  • 全身の機能UP
  • 代謝改善
  • 消化吸収UP
  • 補気健脾(胃腸をすこやかにして、元気をおぎなう)
黄耆・白朮
  • 皮膚の血行を促進
  • 汗腺の機能改善して汗を止める
防已
  • 利尿作用で、浮腫・水腫の軽減
黄耆・白朮
  • 体内の水分を排出
  • 利尿作用
防已・白朮
  • 鎮痛・消炎・解熱・筋弛緩
生姜・黄耆
  • 循環改善
甘草・大棗
  • 筋のけいれんの緩解

まとめ

防已黄耆湯は水太りタイプの人が飲む漢方薬です。もちろん、水太り=ダイエットで服用するかたも多いですし、製薬会社によってはそこをアピールしています。

ただし、防已黄耆湯が考えられた中国後漢時代(3世紀)はダイエット目的で誕生したわけではありません。

 

防已黄耆湯と防風通聖散を併用している人が多いのには、驚きました。併用して体調不良にならない場合、体力充実している人と思うので、防已黄耆湯じゃなくていいはずです。他のもので利尿作用(利水作用)を考えたほうがよいでしょう。

 

他の漢方薬もそうですが、3~4週間試して変化がないなら合っていない可能性が高いです。

「煎じて飲む」、昔ながらの漢方薬なら「さじ加減」によって、カスタマイズできました。残念ながら現在発売さえているエキス製剤や錠剤はそれができないので、服用を中止するか、“漢方にくわしい医師・薬剤師”に相談することをおすすめします。

 

なお、記事に関する電話相談は受け付けておりません。

 

痩せるためには運動も必要です。下半身痩せメインで考えているかたはこちらの記事も参考にしてください。

下半身痩せできる人とできない人の違いは3つ。治療家が本気で伝えるダイエット

 

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「金匱要略」張仲景著 中国後漢時代(3世紀)より

風濕脉浮.身重.汗出惡風者.防已黄耆湯主之.
風水脉浮.身重汗出惡風者.防已黄耆湯主之.腹痛加芍藥.

防已黄耆湯.治風水脉浮.爲在表.其人或頭汗出.表無他病.病者但下重.從腰以上爲和.腰以下當腫及陰.難以屈伸.

引用:ツムラ漢方スクエア 医療関係者向けサイト
画像引用:日経STYLE
表引用:ツムラ
引用:アメブロ
引用:アメブロ
引用:@cosme
引用:パレスクリニック
引用:麻布医院
画像引用:大峰堂薬品
画像引用:養命酒

 

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