腰が抜けるとはどんな状態?2つの言葉の意味と症状を鍼灸師が解説!

が抜けるという言葉。普段どんなときに使っていますか? 新聞や雑学クイズなどではびっくりするときに使うことが多いです。

だけど、腰が抜けることは実際の身体でも起きます。治療をしていると、カルテに「腰が抜けて……」と書く患者さんもいます。

しかし、腰が抜けるという慣用句はいつ頃から使われるようになったのでしょうか? その語源は? 英語ではなんていうのでしょう。

東洋医学の専門家としての意見は、「東洋医学」がルーツでは? と思っています。

今回は、東洋医学が「腰が抜ける」のルーツと思う理由を個人的見解として発表します。

腰が抜けるという慣用句

腰(こし)が抜・ける の解説

1 腰の関節が外れたり、腰に力がなくなったりして立てなくなる。

2 驚きや恐怖で立っていられなくなる。「びっくりして―・けた」

引用:goo辞書

①は、身体的な症状をあらわしていますね。ギックリ腰といわれる症状とほぼ同じです。

実際になるとかなり辛い症状です。

②は、慣用句として使用されます。本当にびっくりすると全身の力が抜けて立てなくなります。これは東洋医学で考えても合点がいきます。

東洋医学では七情という考えがあり、「腎」に関係するものが「恐」「驚」そして、「腎」は腰に関係するので、驚くと腰が抜けるのは東洋医学から出てきた言葉かもと考えています。

七情 五臓 気機の失調 発病機序 主な症状
怒傷肝 怒則気上 肝気は足から頭に向かって流れている。怒りによって肝の疏泄が失調すると、肝気が異常に上昇する 顔が赤くなる・目の充血・頭痛・めまい・昏倒・手足が冷たくなるなど
喜傷心 喜則気緩 心は血脈や神明を主る。心気が緩むと気血の運行が緩慢になり、神明を守れなくなる 集中力低下・健忘・失神・狂乱など
思傷脾 思則気結 思慮が過ぎると脾の運化が失調して鬱滞する 食欲不振・お腹の脹り・大便の不調・むくみ・倦怠感・眠気など
悲傷肺 悲則気消 肺気が消耗すると肺の宣発・粛降作用が失調する 呼吸困難・体力や抵抗力の低下・意気消沈など
優傷肺 優則気塞 肺気が塞がると宣発・粛降作用が失調 同上
恐傷腎 恐則気下 腎には腎精を貯える蔵精作用がある。恐怖によって腎気が下ると腎精が漏れ出る 大小便の失禁・遺精・滑精・白髪になる・歯が抜けるなど
驚傷腎 驚則気乱 神明は腎精より生じる。腎気が乱れると神明が拠り所を失う 動揺・パニック・精神錯乱など

似ている言葉だと、「足がすくむ」「立ちすくむ」でしょう。あと、「腰を抜かす」も類語になるでしょう。

腰が抜けるを英語でいうと

be unable to stand up.

出典:Weblio英和辞典・和英辞典

腰が抜ける実際の状況

腰が抜けると言う症状は一般的にはギックリ腰と呼ばれるものです。

ギックリ腰は

  • 筋筋膜性腰痛(きんきんまくせいようつう)
  • 椎間関節性腰痛(ついかんかんせつせいようつう)

と呼ばれる2つに大きく分けられます。

治療家としての感想を言うと、腰が抜けると言うのは椎間関節性腰痛の症状が多いと思われます。

筋筋膜性腰痛だと筋肉の繊維が切れている状態なので、腰が抜けると言うよりかは腰を動かせない(体を動かせない)ことが多いでしょう。

そのほか、腰が抜ける状態や足に力が入らなくなるものとして、神経からの症状も考えられます。

腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)と呼ばれる症状です。

脊柱管狭窄症とは、高齢者に多い症状です。

腰部脊柱管狭窄症とは?

腰から出ている神経(馬尾神経)が障害されて起きます。特徴的な症状として、足に力が入らない・間欠性跛行(かんけつせいはこう)といって、ある程度の距離を歩くと前かがみで休まないと辛くなる症状があります。

インターネット上には、自律神経の交感神経が、驚くことによって脈拍が早くなったり血管が収縮したりすることにより、背中の筋肉(脊柱起立筋)にうまく信号が伝わらなくなり腰に力が入らなくなる。と書いてあるものもあります。しかし、実際のところは眉唾ものという感想です。

腰が抜ける状況ではどうすればいい

腰が抜けたような状態になったとすれば、出来る限り安静に横向きで休んだ方が良いでしょう。

無理に動こうとせず、湿布があれば貼っておくと良いでしょう。

少し動けるようになれば、病院(整形外科)で骨に異常がないか検査した方が良いでしょう。骨等に異常がなければ、鍼灸や整体を併用すると改善まで近道になりますよ。

まとめ

腰が抜けるという言葉は、

  1. 驚きや恐怖で立てなくなる状況
  2. 腰を傷めて立てなくなる状況

ふたつの意味があります。

そして、驚きや恐怖は、東洋医学でいう七情だと「腎」に関係しており、「腎」は腰との関係性もあるので、東洋医学から生まれた言葉では? と考えています。

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