五月五日は二十四節気でいう、立夏にあたります。
立夏とは、旧暦の四月巳月の正節です。新緑が鮮やかになり、山野に生気が走り、皐月風の匂いが立ち始める頃です。
立夏と健康的な生活との関係は東洋医学に書かれている!
私は脈状でみているので、季節には敏感に反応して、治療に役立てています。
黄帝内経素問:平人氣象論篇第十八

夏胃微鉤曰平.鉤多胃少曰心病.但鉤無胃曰死.胃而有石曰冬病.石甚曰今病.藏眞通於心.心藏血脉之氣也.
夏は胃の気にかぎ針のように少し引っかかるような微鉤であるのが平常であります。
鉤が多く胃の気の少ない場合は、心を病んでおります。
ただ鉤のみで胃の気の無いものは死証であります。
胃の気に深く按じなければ触れることの出来ない石脉が現れていれば、冬に発病致します。
石が甚だしいようでありますと、今もうすでに病んでおります。
五臓の真気は、夏には心がこれを全身に通じさせ、心は血脉の気を蔵しております。
黄帝内経素問:玉機眞藏論篇第十九
岐伯曰.夏脉者心也.南方火也.萬物之所以盛長也.
故其氣來盛去衰.故曰鉤.反此者病.
夏の脉は鉤のようであるとのことだが、その理由と様はどのようであるのか。
岐伯がこれに対して申された。
夏の脉は心でありまして、南方・火の性質であり、万物が盛んになり長ずる気に応じております。
従いまして、その気がやってくるのは、盛んで迫ってくるようでありますが、去る時にはパッと衰えるように感じます。あたかもフックのようなカギがイメージされますので、鉤と申します。
これに反するような脈状でありますと、病んでおります。
難経:十五難
夏脉鉤者.心南方火也.萬物之所盛.垂枝布葉.皆下曲如鉤.故其脉之來疾去遲.故曰鉤.
夏の脈は鉤(かぎ)のように曲がった鈎となる。心は南方の火に属し、万物が茂り盛えり時なので、
樹の垂れた枝には葉が茂り、すべて鉤のように垂れ下がっている。
したがって脈はすばやく来てゆっくりと去り、これを鉤脈という。
然.其
氣來實強.是謂太過.病在外.
氣來虚微.是謂不及.病在内.
其脉來累累如環.如循琅玕.曰平.
來而益數.如雞擧足者.曰病.
前曲後居.如操帶鉤.曰死.
夏脉微鉤.曰平.鉤多胃氣少.曰病.但鉤無胃氣.曰死.夏以胃氣爲本.
夏の脈は鈎脈であり、この脈に反するものは病脈である。
どのような脈を反するものと言うのか。
答え。
脈の来かたが実していて強いのは太過で、病が外にあるとし、
脈の来かたが虚していて微かなのは不及で、病が内にあるとする。
脈が来るとき、並んだ玉環をなでいてるようで、
また美しい珠玉のように丸くなめらかなものは平脈である。
脈の来かたがすばやく、鶏が足を挙げて歩く様子に似ているものは病脈である。
前が曲がって後ろがまっすぐで、革帯の鈎を持つかのごとき脈は死脈である。
夏の脈は微・鈎脈が平脈で、鈎脈が強く胃気の少ないのは病脈、
鈎脈のみで胃気のないものは死脈となる。
何故なら、夏も胃気が基本となるからである。